きたながりの彼女はしんどがり

双極彼女と強迫彼氏の日常

【書評】うちのOCD


この本は、私たちにとってとても大事な本です。

ハカセくんの通院のきっかけになった本だからです。

本といっても、マンガなんですけどね。

でもマンガだからこそ、読みやすく分かりやすく書かれていて、
病気の人やその周りの人にこそ読んでほしい1冊となっています。


さて、タイトルにもなっているOCDとはなんでしょう。

ずばり、強迫性障害のことです。

英語表記ですね。「強迫性障害」って言うのが長ったらしくて面倒くさい人はOCDって言いましょう。

私は略して「強迫」って言ってますけど。

強迫症」なんて呼び名もありますね。


このマンガは、そんなOCDの夫をもつ、マンガ家のしらみずさだこさんによって書かれています。

内容はご主人のOCDの症状から、通院に至るまでの紆余曲折、ふたりで病気をどう乗り越えてきたか、といった感じです。


なにより私がいちばん参考になったのは、
「やってみてよかったこと10項目」
という章です。

この章では、本人と家族にわけてそれぞれ10項目、病気との付き合い方の工夫が書かれています。

しかしそれは必ずしも病気だから当てはまるといったものではなく、結局は思いやりの心だなあと思わされる章です。

また、「やってみてよかったこと」という書き方も好きです。
押し付けがましくなく、上から目線でもなく、こんな言い方ができる人になりたいと思いました。


あともうひとつ、今度は私がいちばん心を打たれたページがありました。

少し引用します。

一人でいると荷物は軽い
なんでも一人分ですむ

二人だと
相手のうれしいことは
自分もうれしくなって
喜びが二人分になる

そして同じように
悲しみもまた二人分になる

でも、苦しいときは
荷物を分けて
助け合うこともできる

〜しらみずさだこ著『うちのOCD』より〜



よく、ふたりでいると喜びは倍に、悲しみは半分に、なんて言いますが、
そんなあほなことあるかい!と思っていました。

喜びが倍になるのは分かるけど、悲しみも倍になるよな、と。

でもその2倍になった悲しみは、2人で助け合って乗り越えることができます。

この助け合えるってことこそが、何よりも重要なことではないでしょうか。

私はこの本を読んで、切実に思いました。


このあと、このマンガの主人公2人は、結婚をすることになります。

しかしそれは決して幸せなだけの結婚ではなく、
どん底でどうしようもない中での結婚だったそうです。

それでも二人がいいと思ったから

〜しらみずさだこ著『うちのOCD』より〜


結婚した、とマンガには書かれていました。


私たちも、結婚するにあたってたくさんの問題を抱えています。

しかし、結婚したかったら、どん底でも、どんな状況でも、思い切って大丈夫なんだなと、思いました。

結婚式も、盛大にやれたらそれは夢だけれど、
そんなことよりも結婚する、ふたりで一緒にいる、ということ自体が大切なんだなあと、
実感させられました。


うちのOCD、とてもいいマンガです。

強迫性障害もちの方やそのご家族はぜひ、参考になることまちがいなしです。

また強迫性障害に関係がなくても、カップルやご夫婦で病気に立ち向かっている方々にはぴったりなのではないでしょうか。


よければ一度手にしてみてください。


それでは、おやすみなさい。